anticapの日記

とある氷河期世代の海外就職、国際結婚、政治観

パナマ文書による脱税情報リークとムヒカ

今日はタイムリーなパナマ文書について

昔から世界の富裕層によるタックスへイブン、マネーロンダリングが囁かれていましたが、この規模でその実態を裏付けするのは初めてではないでしょうか?

正直、僕は支配者階級の脱税については最早日常茶飯事に行われていると考えていると考えていましたが、発覚後すぐにアイスランド首相が辞任するなど、そのリークの規模と影響には驚きを隠せません。

今回のリークは氷山の一角でしょうし、利用していた特定の国の富裕層の被害だけに収まるでしょうが、このリークには日本企業や国内著名人が名を連ねており、脱税額は今回のリーク中第二位となっているという話もでています。いつもは率先して重箱の隅をつつきあっている与野党も双方共にダメージがでかいためダンマリを決め込むでしょう

国内大企業という事で国内メディアのスポンサーになっている企業も多いでしょうし、何よりあの電通まで候補にあがっているため保守的な日本のメディアは恐らくはあまり大きく取り上げないでしょう。早速日本政府は政府としてこの件を調査しないといっています。中国にいたっては規制をかけたようです。逆に市民意識の高いフランスなどのヨーロッパの先進国はすでに調査を開始しており、アメリカも調査すると公言しています。こういった先進国の対応と比べると本当に日本は中国などと目くそ鼻くそですね。

しかしながら最近法人税をさげたばかりですし、安倍政権下によって国民の税負担を増やしてたばかりですから、このリークが事実で日本の大企業及び富裕層による脱税が発覚したなら国民は納得できないでしょう。また、今回のリークに法人税の減税やそれによる国民負担の増加を推進していた経団連や癒着している政治家などの名前がのっているのならば多くの国民は落胆するでしょう。

国によっては暴動が起きる危険性もあると思いますが、恐らくは日本人はこのような理不尽な富裕層の振る舞いに対しても深くは追及せず、残念ながら時間とともに風化してしまうと思いますし、支配者階級はそれを認識した上での対応をしてくると思います。逆にこれについて何らかアクションを国民全体が起こしたならそこが日本のターニングポイントになるでしょう。

しかし、前回のブログにあげたように政府が人件費など収支についての見直しをせず、更に経団連など企業の言いなりになり全てのツケを国民に被せている状態であれば内需は確実に縮小し、自分自身の首を締める結果になるでしょう。このままの世界情勢が続くなら過去の歴史のようにナショナリズムは加速し、浅はかな国内企業は外需を思うように伸ばせなくなるのですから。

今回流出した企業、個人一覧
https://offshoreleaks.icij.org/search?country=JA&q=&ppl=on&ent=on&adr=on

一方で、ウルグアイ元大統領のホセ・ムヒカが来日しています。

僕は南米に滞在していた事もあり、よく耳にする方なのですが、日本メディアが彼を取り上げることに驚いています。それも絵本になった優しいおじいさんとして…

南米はまだ政府と反政府組織に分かれお互いの意見のためつばぜり合いをしている状態が多くのみられますが、このムヒカはバリバリの反政府組織であるツパマロス出身、極貧の農家出身で銃弾に撃たれ、投獄、脱獄を繰り返しながら文字通り血にまみれながら大統領にまでなった気骨のある人物です。ツパマロスが南米の反政府組織や原住民、貧困層のカリスマであるあのエルネスト・ゲバラの影響が強いようにムヒカもまたゲバラに影響された一人でもあります。現にムヒカがゲバラが没したボリビアにてモラレス大統領からゲバラの直筆の日記のコピーをプレゼントされた時、感激の涙を流したことは有名です。

しかし、そんな波乱の人生を生き絶望の中に希望を見いだした彼が行き着いた思想、人生哲学は多くの人の心に響くものがあるのでしょう。現在彼は最も貧しい(元)大統領と紹介されていますが、農業をしたり決して贅沢をしない姿勢はあのゲバラを思い起こします。多くの屍を越えてきた人生であり、仲間の死を乗り越え、恐らくはその手を血に染める事もあったでしょうが、大義を持つ志をもっていれば私欲のために贅の限りを尽くす事は志半ばで散っていった仲間たちに申し訳ない気持ちになるのでしょう。
これはどこぞの国の世襲議員のボンボンなど、生まれついての特権階級のような痛みを知らない層では行き着かない思想でしょう。このムヒカのような人物が仮にパナマ文書に書かれていたらさすがに僕も人類に落胆します。

2つの対極するニュースを今回は取り上げましたが、資本家の思想、ムヒカの思想どちらのやり方や考えが正しいかは残念ながらわかりません。僕の思想は完全にムヒカに近い思想ですが、それが正しいかはハッキリは言えません。この意見を通すのは資本主義化の現代には時代遅れでおいてけぼりになるでしょう。

しかしながら、一人一人が単に長いものにまかれるだけでなく自分自身の思想をもって行くことはこれからの日本では重要になってくる思います。