anticapの日記

とある氷河期世代の海外就職、国際結婚、政治観

バナマ文書問題 その2

今回も引き続きパナマ文書問題。

違法とはいえないこの問題がこれだけ世界を騒がせているのは、かねてから囁かれていた富裕層、大企業による税金逃れが実態となったこととその金額が大きかった事でしょう。

恐らくは政治的敵対勢力ない国、野党が事実上存在しない国、独裁国、国がメディアを強力に支配しているような国以外は大打撃でしょう。逆にこの件をキチンと問題視し調査を開始した国は国民のために政治システムが正常に稼働している先進国と呼べるのかもしれません

深まる現行の主義、システムに不安を感じている国々では選挙に多大な影響を及ぼすかもしれないですし、アメリカなどは想像もしていなかったサンダース氏が大統領戦に本格的に浮上するなんてこともあるかも知れません。現に暴動が起きてしまっている国もあるそうです。

ではこのパナマ文書問題とは何なのでしょうか?僕自身のこの問題に対する頭の整理のためにも書いておきたいと思います。

パナマ文書とは、パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」から何者かのハッキングによりリークした膨大な量の内部文書を南ドイツ新聞が入手し、国際調査報道ジャーナリスト連合とともに分析して、4月3日に公表した文書をさします。

因みにパナマは南米コロンビアから独立した人口380万人弱の小さな国で、パナマ運河運営、コロン・フリーゾパナマ運河運営、コロン・フリーゾーンを経由しての中継貿易、国際金融センター、便宜置籍船制度、商業、不動産業等がGDPの約8割を占めています。
パナマ運河の影響で南米では法制度と銀行インフラが非常にしっかりしている国です。また世界平和ランキングも60位以内と南米では比較的に治安がよく、政治もベネズエラのような反米姿勢ではなく物価も安めの国です。

次に今回の問題を説明する上で欠かせないワードであるオフシェアとタックスへイブンについて解説したいと思います。

安価な労働力の確保などをを目的として企業が業務の一部または全部を海外に移管・委託することをオフシェアリングといいます。今回のはこれの金融版とでもいいましょうか。

国外からの所得に対して所得税法人税が安いかまったくかからなく、かつ人口の少ない観光や鉱物をはじめとする自然資源に収入を頼っているマカオ、モナコリヒテンシュタインなどの国や自治権を持った香港などの地域が外貨獲得策として編み出されたのがこのオフショア金融システムです。
残念ながら意図的にか金融の世界においては、このオフシェアリングに対する規制が非常に少ない状況です。

つまりはこれらの国や地域は、国外からの収配当や有価証券売買利益などの、収入にに、 課税しないかまたはかなりの低税率になする事で外貨を獲得し利益を獲ています。それらの国、地域をタックスヘイブン租税回避地)呼びます。

今回の件で問題なのは、そのタックスへイブンと呼ばれる地域にペーパーカンパニーを置くことで本来は自国に支払われるべき税金から逃れていた事です。

具体的に説明しますと、このタックスヘブンと呼ばれる小さな国々が、自国に大きな製造産業などがないため、その国にある会社は税金が取られないという利点
を推して自国に他国からの資金を呼び込みます。そして他国の方針なので内政干渉をする訳にいかず、法律もないため世界はこれを黙認します。
すると各国の大企業は目をつけて、
このタックスヘイブンに紙で登録するだけで実体はない(ペーパーカンパニー)子会社などをいくつも設立し、本社の営業利益をタックスヘイブンの子会社達に分散して渡し、本国に本社を赤字化させます。タックスヘイブンの子会社は対した事をしなくても、本社から利益がゆずられてくるので大きな利益を出しますがタックスヘイブンなのでほぼ無税。
本社は赤字かそれに近い金額のため税金をちょろまかせます。
またタックスへイブンと呼ばれる国々も設立された会社の登記料や僅かながら法人税が入ります。僅かとはいえそれらの国は人口も規模も小さいですから、十分な稼ぎとなります。

モナコリヒテンシュタインシンガポールなど国、規模は小さいが所謂一人当たりのGDPが高い国がしているグレーゾーンともいえる手段です。彼らは吸われる立場の日本などよりも豊かな暮らしをしています。

しかし、もっとも問題視すべき点はこの行為による税金逃れの金額があまりに多くなってしまったこととそれに対する罰則がないため、法>国家となってしまっている事です。これは恐らく意図的に作られた資本主義の穴でしょう。

本来国家に流れるべきお金が他国に流れてしまっているのですから、該当する国はたまったもんじゃありません。経済も勿論回らなくなり、富の再分配どころが一部に貯まるのみです。国民にいくら増税してもキリがありません。経済規模は縮小していくのみです。安倍総理のいうトリクルダウンなんて起きないはずです。かつて日本で自己責任なんて言葉が流行りましたが、これでは国の責任でしょう。

それでは国民はこの問題に対してどうすればよいのでしょうか?それは声をあげてこの問題に対してNOということです。いくら報道規制をかけてもその声は広がり、やがて一つの束となり新たな世代の新しい政党などをうむきっかけになるでしょう。これは国民にとっての変革のチャンスでしょう。風化させないようムーブメントを作り、声をあげ続ける事が行動に移る前の大事なステップであると私は思います。

最期に、情報に溢れた現代では個人レベルでも優れたハッキング能力があれば世界を変えかねない力を持つのは恐ろしく感じました。